GAZZETTA
“fu'tbol・Alegre(フットボール・アレグレ:楽しいサッカー)”とは何か? 6月6日

この日ファインセーヴを見せたヴィトール・香田ヴィッツもPKは阻止できない。
「コラァー、16番!!!お前、金もらってんだろ!!!それともBMもらってんのか?!?!これ以上お前たちをどう罵ればいいのかわかんねーよ!!!」

前半10分にクリスティアーノ・久ヴェドがペナルティーエリア内で相手FWを倒した瞬間、アルマダサポーターは一斉に帰り支度を始めた。この日ファインセーヴを見せたヴィトール・香田ヴィッツもPKは阻止できない。前節 赤っ恥をかいたFCアルマダに1点は重過ぎる。愛するが故に抗議やブーイングをぶつけて来たアルマダサポーターも、あまりの体たらくにそれを続ける気力さえなくなってしまった。

“1−0よりも4−3での勝利”サポーターにとって、楽しいサッカーとは点の取り合いだろう。ノーガードのゴールの応酬は、最高に楽しいショーだ。だが、ビアン監督なら楽しめないに違いない。ビアンとしての最高のやりがいは、ゲームプランと采配が的中することにある。4−3よりも2−0での勝利、つまり最少失点かつ最多得点が理想だ。FCアルマダにとっての“fu'tbol・Alegre(フットボール・アレグレ:楽しいサッカー)”とは何か?

選手にとって、プレーしていて楽しいサッカーは、野間大池のFCヴァモスの子供たちを観察していればよく分かる。彼らはボールを触るのが大好きだ。それにゴールするのも大好きだ。つまり、ボールタッチが多くゴールの機会が増えるような戦い方が、彼らにとっては“fu'tbol・Alegre”となる。守備に重きを置いたサッカーは子供には楽しめない。

とはいえ、ボールを与えて勝手にやらせるのが“fu'tbol・Alegre”ではない。なぜか?答えは簡単、そんなアナーキー(無秩序・混沌)なチームでは連戦連敗に終わるからだ。今のFCアルマダがまさにそうだ。「攻撃する人」と「守備をする人」にチームが分断されていて、攻撃の約束事(=戦略・戦術)がなく、個々のタレントのひらめきや個人技に頼り過ぎている。楽しいだけの子供のサッカーではダメだ。

システム、ポジショニング、攻撃の仕方、守り方を、まず個人レベルで浸透させ、次にそれらを数人のコンビネーションプレーに高め、最後にチーム全体が一つの意思を持って動くようにしなければならない。例えば、ドリブル突破より、2対1で突破する方がはるかに簡単で確率が高いことを理解する。次に、ボールを体で守る方法、フリースペースへの見つけ方、ボールを持たない選手の動き方、オーバーラップの仕方、パスを出すタイミング、壁パスのやり方など、コンビネーションプレーを体に覚えさせる。

考え方の基本は、全員での攻撃、全員での守備。「攻撃する人」と「守備をする人」という役割分担は、ボールの位置や試合の状況によって刻々と変化する。サイドバックだけでなくセンターバックも攻撃参加するし、フォワードも積極的に相手ボールを追う。ポジションチェンジも頻繁に行われる。理想的な状態では、抜かれても抜かれても、止めても止めてもフォローするプレーヤーが次々と現れて、12・3人でプレーしている印象を受ける。

チーム全体がリスクの大きい個人技での突破ではなく、確実性の高いコンビネーションプレーを選択することによって、チーム力は確実に上がる。戦略・戦術的に鍛えられたチームとは、チーム力が「個人の能力×11」をはるかに上回るチームのこと。攻守にわたって、不安定な個人技ではなく安定した集団の技術を選んで、より確実なプレーを行なう。

思い出して欲しい。純粋にボールを追い、念願の勝利を飾った開幕戦を。何をもって“楽しい”と定義し、具体的にどんなサッカーを目指すのかは語り尽くせない。だが、個人の特性や能力を活かすと同時に、全員が攻撃にも守備にも参加するヒーローをつくらないサッカー、それがFCアルマダ流の“fu'tbol・Alegre”。グランドの外から笑われるためにプレーしているのでは決してない。


[試合結果]
FCアルマダ 0−1 オーシャンクラブ

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