「イングランドの諺に『サッカーは子供を大人にし、大人を紳士にする』というものがありますが、FCアルマダの選手たちは今、子供から立派な大人になってくれたと思います。まだ紳士にはなっていませんけどね（笑）」
試合前、ビアン千北監督が「おたふく風邪の治療専念」を理由に笑顔で勇退を発表した。
しかし、表向きは勇退だが事実上の更迭であるのは誰の目にも明らか。当然、おたふく風邪はすでに完治している。「5割を目の前にしながら非常に残念な結果」（橋本ッティ）ではあるが、辞任を発表したのは最悪の中での最善だった。会社の同僚でビアン監督のことを古くから知る竜グベリは今回のビアン発言を「彼からのメッセージだ」と語る。
前節、6-1と歴史的大勝を記録したが、まだまだ確固とした形の出来ていない「バブルサッカー（実像のない泡のようなサッカー）」（原ウール主将）と言えるFCアルマダ。実像だと思い込み相手に合わせたサッカーをするのが悪いクセだ。実際、気の緩みからか？試合直前に泡遊びをしてお肌ツルツル、イイ匂いをさせてグランド入りした選手もいた。
監督更迭は選手の責任以外の何者でもない。一番重要なのは“なぜ勝利できたのか”を考えること。FCアルマダが強さを発揮するのは、「組織」の統制と選手の「個」の輝きが融合している時にある。とりわけ、アタッキングＭＦ
竜グベリのドリブルは、「組織」の中にほどよい「個」のアクセントを注入している。前節3アシストを記録した彼を使わない手はない。
その思惑通り、前半7分の得点シーンは竜グベリ。右サイドを縦に走りぬけ、ペナルティボックス手前で宮ーゴからのボールを拾う。そのままボックス内へ持込んだ竜グベリを止めようと前へ出てきたＧＫを冷静にかわし、無人のゴールに丁寧にボールを流し込んだ。リーグ加盟より4年間の呪縛から自らを解き放つセリエS初得点。
気温は30度を超え、風もほとんどない。動けばじっとりと汗が出るコンディションの中、キレキレの竜グベリ。前半15分には久ヴェドからのフィードに抜け出し、流れるように個人技でDFをかわしてクロスを入れる。ニアへのボールは弾かれるが、すぐさまファーサイドのオグライファートへ。これをオグライファートがダイビングヘッドで押し込み2-0とする。
後半に入ると一転してガリンペイロFCの時間となる。後半7分に1点を返されると、クリアしては跳ね返され、中盤でボールを拾われるという悪循環に陥る。そんな蟻地獄の中でもFCアルマダの選手は前から積極的に、粘り強くボールを追いかけミスを誘った。重苦しい展開の後半15分、宮ーゴからのパスに反応した橋本ッティがキーパーの位置を見ながら冷静にゴール隅へ。ガリンペイロハンター山レレに代わり息の根を止める。
終わってみればオグライファート＆橋本ッティの両FWが2試合連続の得点を挙げ、宮ーゴも2アシストとキッチリ結果を残した。しかし、まだ課題も多い。「1点を失ってからは、縦（へのパス）ばかりでなく、変化をつけ、ボールを動かしてスペースを作らないと。ハイテンポでなく、ボールキープをして効率よく攻めることが夏場の戦い方のポイント。その際、チーム全体で、どのタイミングで攻めるかも大切」（ミハマチロヴィッチ）
監督更迭で複雑な心境のババン（ビアン元監督の秘蔵子。試合後はFMでヤケ酒。。）もチームの出来に手応えを感じながらも、「まだまだ大人のチームとは言えない。厳しい連戦を粘り強く戦い抜き、勝ちを拾っていき、そこで得られる果実をすべて自分の血肉にしていく。貯金0のチームでは恥ずかしくて呼べない」。好調な攻撃陣の活躍で、3勝3敗の勝率5割としたFCアルマダ。8月1日からの後半戦の戦いが楽しみだ。
橋セルヴァインク要一のココが”要”
この試合のターニングポイントは2-1と1点差に迫られた後の時間帯のディフェンスでしょう。
①久ヴェドの見せた華麗な受身とは反対の、受身にならない積極的なプレッシング。
②FMで西・カルが見せたアオ鼻のように粘り強くしつこく小汚いチェーシング。
自分もキツイが相手もキツイ。ガマンくらべの時間帯のFCアルマダイレブンのガンバリに･･･
”要”
試合後の選手コメント
（キックオフ前に1ゴールを記録した宮ーゴを迎えに行ったのに、なぜか竜グベリ自身も1ゴールしたのでは？と疑惑が浮上していることについて）
こう見えて私もゴールデンエイジ（30歳）。パンツに指をかけた瞬間に何とか思いとどまったよ（笑）。
（キックオフ後に1ゴール1アシストを記録した 竜グベリ談）
[試合結果]
FCアルマダ 3－1 ガリンペイロFC
